96年10月にオープンした「ひょうたん島」。木造建ての吹き抜けになっており、
店内には宰府園や近所の方の手作りの品が所狭しと並んでいます。奥には喫茶コーナー
があり、店長自ら「いらっしゃいませ!」という大きく元気な声でお客さんを迎えます。
店長は森拓也さん。生まれたときから車いすの生活を送っており、重度身体障害者授
産施設 宰府園に通っています。拓也さんは、たくさんの仲間に支えられ、地域の幼稚
園、小・中学校を卒業することができました。しかし、家庭の事情で生まれ育った町か
ら他の町に引っ越さなくてはならなくなり、そこには友達も、仲間も、知り合いもいま
せんでした。「小・中学校の友達と離ればなれになってしまいたくない」という拓也さ
んの気持ちにご両親が応え、地域の方々の支援も受けて始められたのがこのひょうたん
島です。
支援者の一人である宮辺さんによると、開店後の拓也さんは顔の表情など大人らしく
なったそうです。電話の話し方も格段に変わったそうです。また、変わったのは拓也さ
んだけではなく、お母さんも話しずきになったとか…。
そのような拓也さんやご両親の気立ての良さが来店しやすい雰囲気をかもしだしてい
るため、オープンしてからお客さんが大勢立ち寄るそうです。拓也さんもご両親も楽し
くお客さんと接することができるようになったそうです。
また、宮辺さんは、「拓也さんの現在の姿を見ていると、地域に暮らすことの大切さ
を痛感する」とも言っていました。ただし、そのためには、障害者本人のみでの地域生
活は困難であり、又は家族の支援があったとしても、社会生活の範囲が限られるので、
近隣の親同士が助け合うような、地域で障害者を支える輪が欠かせないそうです。
地域の人達と交流したいという拓也さんの願いがきっかけでしたが、今ではひょうた
ん島を介在して、訪れた人達同士での交流も深まるようになっています。同じ障害児を
育てている親がどうしたらよいか相談に見えることも多いそうです。
「親がいなくなった後、拓也が暮らしていける場については心配です。集いの場とし
てつくったひょうたん島は、喫茶店としての利益はあまり考えていません。『出逢いの
広場』としてあり続けて、このような場が各地域に点在するようになってくれたらいい
な」とお母さんは語っていました。
拓也さんとご両親は、ひょうたん島の他にも、講演をしたり、毎月1回『ひょうたん
島通信』を発行したりと活動の幅を広げながら、みなさんと触れ合う機会を楽しみにし
ています。
ひょうたん島
大野城市下大利3−1−1 TEL092−586−3846 |