厚生労働省に期待される「福祉」と「労働」の連携
本年一月六日に厚生省と労働省が統合化され、厚生労働省が誕生しました。これにより、厚生行政と労働行政が一体的に運営されることとなり、今後の障害者の就労生活を支える各施策にも、総合的な効果が期待されています。
去る一月十六日に開催された全国厚生労働関係部局長会議資料によると、平成十三年度障害保健福祉部予算(案)では労働行政との連携施策として、次のような事業(一部省略)が掲げられています。
@施設外授産の活用による就職促進モデル事業(通過型施設である授産施設入所者の入所期間長期化解消を目的として新たに創設された事業で、全国の3分の1程度の都道府県で実施予定。内容は授産施設入所者が企業等の事業所において授産活動を行い、終了後に公共職業安定所が職業相談、個別求人開拓、職場定着支援等を行うというもの。)
A障害者就業・生活総合支援事業(障害者の生活支援と就業支援を一体的に行うもので試行的に実施されており、来年度は新たに身体障害者を対象に追加。)
B情報機器の活用による重度障害者の社会参加・就労支援連携試行的事業(パソコン等の情報機器を活用して重度障害者が自宅等で仕事に従事できる可能性を高める試行的事業。)
Cグループ就労を活用した精神障害者の雇用促進モデル事業(精神障害者地域生活支援センターが事業所と請負契約を締結し、グループ就労指導員(仮称)付きで数人の精神障害者のグループを就労させるもので、新たに創設。)
こうしたモデル事業は、厚生、労働両省による従来の縦割り行政の弊害をなくし、施策の融合化・効率化の観点から見直された結果生まれてきたもので、障害者の一般雇用や在宅就労の促進にとって、これまで以上に有効に働くと考えられます。
しかし、これらのモデル事業を地域で定着させるためには、障害者関係施設、公共職業安定所、障害者職業センター、盲・聾・養護学校、企業等の関係者が、地域で障害者の雇用を支援するためのネットワークを構築するような取り組みが不可欠です。
また、企業も施設も、互いに相手の専門性を活用することが必要です。企業がもっと小規模作業所や授産施設と連携を深め活用すれば、企業にとって経営面でもプラスになるのではないでしょうか。一方では、前号の事例のように、職業訓練においても企業を活用することにより、労働意欲が高まり、かつ仕事のプロフェッショナルが指導するだけに技術の向上も早く、さらに現場の人たちの障害者への理解も進みます。
関係者が、さまざまな制度を有効に活用するとともに、連携を強化し互いの専門性を十分に発揮しあうことで、より多くの障害者が就労の機会を得ることにつながっていくのではないでしょうか。
【障害者雇用関連統計資料】
次頁の表1のように、県内の民間企業の障害者雇用率は平成十二年六月一日現在で、1・64%と、全国平均1・49%を0・15ポイント上回り、法定雇用率である1・8%には及ばなかったものの、前年より、0・03ポイント改善されました。法定雇用率未達成企業は52・2%で、全国平均を3・5%下回り、前年より、1・7ポイント改善されました。
福岡県における障害者緊急雇用安定プロジェクト(表3)は、平成十二年十二月三十一日現在で、雇用に移行した人数が一四一人となっており、障害別実績は表4のとおりとなっています。
表6は平成五年度に労働省が行った五人以上規模の事業所を対象とした標本調査結果を基礎とした「障害部位・程度別常用労働障害者の雇用状況(推計値)」です。これによると、身体障害者は三十四万四千人、知的障害者は六万人、精神障害者(精神分裂病又は躁うつ病にかかっている人のみカウント)は一万一千人、てんかんの方が一万二千人となっています。平成七〜八年の厚生省の各調査結果(推計)によると、在宅の身体障害者が三〇一万五千人、同じく在宅の知的障害者が二十九万七千人、外来の精神障害者(精神分裂病等と躁うつ病を含む気分障害の合算)が八万五千人余りとなっています。これには児童や高齢者数を含んでおり、前述の雇用状況とは調査の基準年も違うので一概には言えませんが、厳しい就業率であることは間違いありません。