2000年度小規模作業所実態調査報告

2000年4月1日付けで実施しました「小規模作業所実態調査」の結果について、概要を報告いたします。なお、比較に使用している1984年のデータは「地域における障害者の認可・無認可通所施設の現状と課題」(福岡県社会福祉協議会)、1989年・1994年・1997年のデータは、当情報センターが独自に調査した結果です。

「小規模作業所」については、法外施設のため行政的な定義はありませんが、共同作業所全国連絡会によると、@法定外の事業(施設)である、A小規模である、B利用者の障害の重度化・多様化が著しい、C地域性に富んでいる、D簡易作業が活動の中心となっている、E非医療機関である、などの特徴があげられています。全国的に急増しており、'99年度現在、全国で5,202ヶ所(補助対象のみの数で、うち1,462ヶ所が精神障害者の作業所)が設置されています。


1. 調査対象
有効回答131ヶ所の内訳は、心身障害者の作業所が90ヶ所、精神障害者の作業所が41ヶ所でした。
1984年
1989年
1994年
1997年
2000年
対象作業所数
24
60
98
126
169
有効回答
19
54
58
70
131
回答率
80%
90%
60%
55%
78%


2. 作業所当たりの通所者数、職員数(非常勤を含む)
職員一人当たりの通所者数は、3.1人となっていますが、常勤職員だけでみると5.1人であり、通所者の重度化・高齢化等を考えると非常に厳しい状態であることがうかがわれます。
通所者数
一作業所当たり
職員数
一作業所当たり
通所者数/職員数
1984年
146
6.3
18
0.7
8.1
1989年
517
9.6
106
2
4.9
1994年
566
9.7
179
3.1
3.2
1997年
839
11.9
303
4.3
2.8
2000年
1,509
11.5
484
3.7
3.1


3. 通所者の状況
@通所者数別の作業所数
0〜4人
5〜9人
10〜14人
15〜19人
20〜24人
25人以上
1984年
2(11%)
10(53%)
4(21%)
2(11%)
0(0%)
1(5%)
1989年
3( 6%)
24(44%)
20(37%)
3( 6%)
3(6%)
1(2%)
1994年
2( 3%)
26(45%)
22(38%)
8(14%)
0(0%)
0(0%)
1997年
1( 1%)
20(29%)
28(40%)
14(20%)
6(9%)
1(1%)
2000年
3( 2%)
50(38%)
40(31%)
28(21%)
9(7%)
1(1%)


A障害別の状況
知的障害
身体障害
精神障害
重複障害
その他
合計
1984年
76(48%)
38(24%)
0( 0%)
34(22%)
9(6%)
157(100%)
1989年
156(30%)
103(20%)
110(21%)
104(20%)
44(9%)
517(100%)
1994年
216(39%)
104(19%)
136(25%)
85(15%)
11(2%)
552(100%)
1997年
255(30%)
123(15%)
290(35%)
138(16%)
33(4%)
839(100%)
2000年
483(32%)
230(15%)
562(38%)
184(12%)
50(3%)
1,509(100%)


B障害の程度
全体的な比率では、精神障害者の増加により、知的障害者・身体障害者の比率が落ちていますが、療育手帳AとBの比率や、身障手帳1〜2級と3級以上の比率を見ると、重度化が進んでいることがうかがわれます。
@療育A
A療育B
@/A
B身障手帳 1〜2級
C身障手帳 3級以上
B/C
精神障害者 保健福祉手帳
その他
合計
1984年
10
70
0.14
44
15
2.93
139
1989年
160
113
1.42
92
64
1.44
429
1994年
165
96
1.72
115
54
2.13
430
1997年
264
104
2.54
162
77
2.1
176
56
783
2000年
424
225
1.88
294
108
2.72
359
99
1,509


C年齢別の通所者数
通所者の平均年齢は35.5歳で、'84年当時と比べると5〜6歳上がっており、特に、60歳以上の方が6%を占めていることでもわかるように、高齢化が進んでいます。
10代
20代
30代
40代
50代
60代
70以上
通所者数
149
469
337
292
158
60
30
割 合
10%
31%
23%
19%
11%
4%
2%


D一般企業からの解雇(離職に追い込まれたこと)の経験
一般企業から解雇あるいは離職に追い込まれた経験を持つ通所者は、一般就労経験者の3分の2を占めます。特に最近は不況の影響で増加しており、その受け皿として作業所が機能している一面があります。
解雇された時期
該当通所者数
一般就労経験者に占める割合
過去1年以内に解雇された
44
12%
過去2〜3年以内に解雇された
54
14%
過去4〜5年以内に解雇された
58
15%
6年以上前に解雇されたことがある
98
26%
解雇されたことはない
128
33%
合計(一般就労経験者)
382
100%


4. 職員の状況
@職員数別の作業所数
0人
1人
2人
3人
4人
5人
6人
7人
8人
9人
10人以上
不明
1984年
9
4
4
2
0
0
0
0
0
0
0
0
1989年
13
11
12
8
3
3
2
0
1
0
1
0
1994年
0
5
23
8
7
3
5
1
0
0
1
5
1997年
0
3
13
16
12
6
8
6
2
1
3
0
2000年
0
6
33
30
20
15
9
5
5
2
2
4


A職員の勤務形態
最近、徐々に改善されてきたとはいっても、職員の平均年齢が46歳ということを考えれば、常勤、非常勤ともに、給与保障は非常に低く、厳しい運営状態となっています。
勤務形態
該当職員数
一作業所当たり
平均給与
平均年齢
常勤
297(61%)
2.3人
月額11.6万円
45歳
非常勤
148(31%)
1.1人
日額4,210円
 48歳
その他
39( 8%)
0.3人
 50歳
合計
484(100%)
46歳


5. 財政状況(1999年度実績)
@収入の部
1ヶ所当たりの平均額
収入総額に占める割合
補助金
6,030,238
64%
助成金
335,761
4%
寄付金
325,215
3%
通所者負担金
394,819
4%
その他負担金
53,263
1%
作業収入
1,327,010
14%
その他事業収入
455,793
5%
繰越金
315,883
3%
雑収入
160,013
2%
合  計
9,397,995
100%


A支出の部
作業所平均で常勤職員2.3人、非常勤職員1.1人の人件費が約442万円、通所者11.5人の工賃が約97万円となっており、厳しい運営状況がみてとれます。
1ヶ所当たりの平均額
支出総額に占める割合
人件費
4,424,659
47%
その他管理費
2,006,724
21%
工賃
969,315
10%
作業経費
508,943
6%
その他事業費
1,150,072
12%
繰越金
338,282
4%
合  計
9,397,995
100%


6. 活動内容
@作業種目(回答作業所数:113ヶ所)
前回調査では、「簡易作業」以外はすべて30%以下でしたが、今回の結果によると、廃品・アルミカンの回収や廃油石鹸といったリサイクル関連の作業の急増をはじめ、多様な作業に取り組む作業所が増えてきています。特に、喫茶店やパン屋といった接客をともなう事業にも進出する作業所が出てきました。また、パソコンを利用した名刺印刷や情報処理分野の取り組みも徐々に進んでいます。
「作業種目」
実施作業所数
簡易作業
88(67%)
リサイクル
56(43%)
美術・工芸品
50(38%)
縫製作業
42(32%)
農業
32(24%)
食品加工
29(22%)
印刷
23(18%)
サービス業
19(15%)
情報処理
8( 6%)
クリーニング
1( 1%)


Aその他の活動(回答作業所数:131ヶ所)
季節の行事やカラオケ、旅行などのレクリエーション・趣味を広げる活動と作品展やイベント参加、広報紙の発行などの地域への理解を広げる活動については9割以上の作業所で取り組まれています。併せて、一時預かりや、移送サービス、相談事業など地域の障害者の生活を支える活動も取り組みが増えてきています
「その他の活動」の内容
実施作業所数
レクリエーション・趣味を広げる活動
121(92%)
地域への理解を広げる活動
119(91%)
障害者の日常生活体験活動
104(79%)
通所者に学習を保障する活動
101(77%)
運営資金を確保するための活動
101(77%)
地域の障害者の生活を支える活動
70(53%)
地域に貢献する活動
50(38%)


7. 通所者と作業所の関係(回答作業所数:129ヶ所)
多様な取り組みが進む中、作業所の明確な位置付けがない作業所が三分の一を占めており、手探りでの運営を行っている実態がうかがわれます。
「通所者と作業所の関係」の内容
該当作業所数
雇用契約を結んだ雇用関係
2( 2%)
契約はないが雇用関係
5( 4%)
利用契約を結んだ利用者とサービス提供組織
31(24%)
契約はないが利用者とサービス提供組織
32(25%)
個人とその支援者
14(11%)
明確な位置付けはない
45(34%)


8. 現状の課題(回答作業所数:131ヶ所)
「現状の課題」の内容
該当作業所数
@運営資金の不足
85(65%)
A工賃の低さ
67(51%)
B建物や敷地の狭さ
61(47%)
C作業(仕事)の不足
52(40%)
D職員の不足
48(37%)
E通所者の交通費負担
46(35%)
Fコミュニケーション困難な通所者への対応
43(33%)
G通所者の家族の支援
41(31%)
H通所者の問題行動への対応
38(29%)
I関係機関との連携
37(28%)
J通所者の地域生活支援
33(25%)
K送迎の実施
33(25%)
L通所者の増加
23(18%)
Mボランティアの不足
18(14%)
N通所者の性の問題
15(11%)
O緊急時の夜間対応
11( 8%)
P周辺住民の無理解
6( 5%)
Q異性介助
5( 4%)

「現状の課題」の具体的記述

作業所の場所や設備に関する問題…代表者の自宅以外で場所を確保したい/人員や作業資材が増えて狭くなっている/作業所の前の交通量が多く危険である/作業所にトイレがない/建物の老朽化で市から立ち退きを命じられている/
職員に関する問題…職員数の不足/身分保障が十分でないため長続きしない、あるいは質が高まらない/職員の健康管理(腰痛不安など)/
通所者や家族に関する問題…通所者数の増加/重度・重複障害者の増加/通所者の高齢化による医療問題/親亡き後の住まい、生活費の問題の具体化/親の高齢化による作業所運営の今後が不安/各人の作業所の捉え方の違いによる意識の隔たり/休日を理解できない通所者など個別対応の難しさ/
運営資金に関する問題…運営資金の不足/補助金の増加/法人化のための建設資金づくり/
事業に関する問題…下請け作業の不足/自主製品の販売先の確保/売り上げの安定/地域交流の方法/生活環境の改善/
作業所以外の支援策に関する問題…地域生活支援センターが必要/作業所から先へ進むところ(就労など)がない/


9. 今後の方向性
「今後の方向性」の内容
該当作業所数
作業所として継続する
72(55%)
法人化の準備を進めている
15(11%)
法人化を検討している
27(20%)
事業所移行の準備を進めている
 0(0%)
事業所への移行を検討している
1( 1%)
閉鎖する
1( 1%)
決まっていない
14(11%)
その他
1( 1%)
合 計
131(100%)


まとめ

設置ヶ所数が増え、1ヶ所当たりの利用者数も増加していることから、作業所利用のニーズは明らかに高まっています。特に、精神障害者の利用については急速な伸びを示しています。
しかしながら、その取り組みや位置付けは、自立や社会参加についての障害者の意識の変化にともない多様化してきており、「小規模作業所」という一つの括りでは捉えられなくなってきているようにも見えます。事実、他県では作業所を類型化して特定の機能を強化していくという動きも出てきています。
一方では、先般の社会福祉事業法の改正による社会福祉法人の規制緩和等の影響もあって、検討中を含めれば3分の1の小規模作業所が社会福祉法人化をめざしています。この背景には、法外施設のままでは、安定的な運営を望めないということがあります。この他にも様々な課題を抱えながら、現行制度の隙間を埋めている小規模作業所のあり方について、見直す時期が来ているのではないでしょうか。